1 光と影

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 お腹いっぱいになった昼休み。  僕は、階段に座って、グラウンドを見てる。ちょっと背中丸めて。足はぶらぶら。  一人でこうしてると、みんなは僕のこと、「ぼーっとしてる」って言う。  僕は、楽しいからこうしてる。  男の子は、みんな、ワクワク走り回ってて。  女の子は、みんな、ふわふわ動き回ってて。 「あの子は花火」  逆上がりができないワクワクくんは、ちょっとイライラしてる。そろそろ燃えちゃいそう。 「あっちの子は……クリスマスツリー」  追いかけっこの鬼をしてるワクワクくんは、ちょっと楽しそうで、ピカピカ。 「あの子は、わたあめ」  ブランコを独り占めしてるふわふわちゃんは、ちょっとイジワルな、べとべと。  昼休みになると生き生きしてる、ワクワクくんと、ふわふわちゃん。その日の気分で形が変わって、みんな面白い。  だけど、ドッジボールをしてる集まりの中。たくさんのワクワクくんとふわふわちゃんの中に、ひとつ、きらきらした光が混じってる。  キョロキョロするのをやめて、僕はあのきらきらをじっと見つめる。あれだけを。  あれだけはいつも変わらない。誰よりも強い、あのまぶしさは。 「…………(りつ)は、太陽」  ボールを受け止めては、投げて。白い線の外に出たり、でもまたすぐ中に戻ったり。きっとあの中で一番忙しい、きらきら光る男の子。  あれが律。雨谷(あめや) 律。
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