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お腹いっぱいになった昼休み。
僕は、階段に座って、グラウンドを見てる。ちょっと背中丸めて。足はぶらぶら。
一人でこうしてると、みんなは僕のこと、「ぼーっとしてる」って言う。
僕は、楽しいからこうしてる。
男の子は、みんな、ワクワク走り回ってて。
女の子は、みんな、ふわふわ動き回ってて。
「あの子は花火」
逆上がりができないワクワクくんは、ちょっとイライラしてる。そろそろ燃えちゃいそう。
「あっちの子は……クリスマスツリー」
追いかけっこの鬼をしてるワクワクくんは、ちょっと楽しそうで、ピカピカ。
「あの子は、わたあめ」
ブランコを独り占めしてるふわふわちゃんは、ちょっとイジワルな、べとべと。
昼休みになると生き生きしてる、ワクワクくんと、ふわふわちゃん。その日の気分で形が変わって、みんな面白い。
だけど、ドッジボールをしてる集まりの中。たくさんのワクワクくんとふわふわちゃんの中に、ひとつ、きらきらした光が混じってる。
キョロキョロするのをやめて、僕はあのきらきらをじっと見つめる。あれだけを。
あれだけはいつも変わらない。誰よりも強い、あのまぶしさは。
「…………律は、太陽」
ボールを受け止めては、投げて。白い線の外に出たり、でもまたすぐ中に戻ったり。きっとあの中で一番忙しい、きらきら光る男の子。
あれが律。雨谷 律。
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