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ボールを追いかけては避けて、あっちへ行ったりこっちへ行ったりする速い足も。ボールを取っては投げる、綺麗な形の長い腕も。大きい声で笑って、怒って、また笑う、元気な顔も。
その全部がまぶしくて、僕は目を細めちゃう。口が、笑っちゃう。
「かっこいいなぁ……」
かっこいい。律を見るたび、そう思う。
みんなもそう思うから、律がいるところに集まるんだ。みんな、律が大好きだから。
そんなこと考えてたら、いきなりボールがこっちに飛んできた。僕の手がそれをキャッチする。
「真白っ! こっち、パスッ!」
手を振りながら駆け寄ってくる律は、笑顔で僕の名前を呼ぶ。
心に羽が生えて、ふわーって、高く浮かんだ。
きらきらが、声にもまぶしてあるみたい。その声が、僕を呼ぶ。たったそれだけで、たった三文字の名前が、ものすごく透き通って聞こえる。
「いくよ」
立ち上がった僕が思いきり投げたボールは、おりこうさんに、きちんと律の手元に飛んでった。
「サンキュッ!」
「どういたしまして」
「お前、やんねーの? そこで見てるくらいなら入ってくりゃいいのに」
「僕はいいよ。律を見てるだけで楽しいから」
「えーっ、何だそれ。変なやつ。ま、やりたくなったらいつでも言えよっ」
さりげなく優しい言葉を置いて、みんなのところへ戻っていく律。
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