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結
部屋に帰った僕は、何より最初にフカフカのベッドに蹲って笑った。
笑った拍子に口の奥に隠してあった牙がひょいと先を出す。
拙い拙いと、僕は慌ててそれを隠した。
御神楽さんには可哀想だけど……。
彼の失敗の原因は、襲った女性が貧血だったから。
では、何故、女性は貧血だったか。
答えは失血性の貧血。
つまり、先に僕が血を吸っていたから、だ。
僕が彼女の部屋に行ったのは夜十時。
でも犯行時刻は零時ということだったから、もう一人のヴァンパイアの存在にはすぐ気がついた。
あとは上手く、ソイツを炙り出せるかだったのだけれど……、
本当に上手くいって良かった。
「ああ、コイツも外さないと」
そう言って僕は手袋を外す。
本物の手そっくり。聖なるパワーを完全シャットアウト。対銀使用の超薄型手袋。現在、特許出願中のヤツ。
ああ、改めて自己紹介を。
僕の名前は尼馬寛人。
またの名を、吸血革命家の馬っちゃん。
……僕的にはカッコ良いペンネームなんだけど……。
「ダサいは結構、ショックだな」
そんなことを零しながら、僕はチェックアウトまでもう一眠りすることにした。
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