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「頭が良いとは? つまり、そいつは狡猾な知能犯なんですか?」
額に汗を滲ませながら、御神楽が問う。
「知能犯と言うか、まぁ、特許を三十も取ってるアイディアマンですねェ」
「そういう方向かいッ」
誠司が思わず叫んでいた。
「ついでに、本も出してますねェ」
そう言ってガマさんが取り出した一冊の本には、
『ハウ・トゥ・吸血』
そうタイトルが付けられていた。
「「「「モロすぎッ」」」」
見事な全員ツッコミ。
「いやいや。コレ、結構厄介なんですよねェ。この本の中でバレない吸血のやり方なんかを書いちゃってるんワケでしてねェ」
「それはワタクシも存じております」
不意に支配人が話に加わる。
「マっちゃんの本によれば、何でも、本来ならば全て吸いつくす血液量を、致死量の半分ほどに抑えるのだとか。そうすることで被害者は死なず、気を失うだけで済む。起きた被害者は『あれ? 夢だったのかしら?』くらいにしか思わないと、そういうことでございますな」
「ああ、つまり、財布から札全部抜かずに千円だけ抜いて、『あれ足りないけど、気のせいかな?』みたいなモンかのぅ?」
誠司が解説して、
「鬼セコいッ」
里穂がバッサリ斬り捨てていた。
「なるほど。吸血鬼だけに鬼セコいワケですね」
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