ホテル・ヴァンパイア

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 僕はその時、ある一人の人物が小さく舌打ちをしたのを、確かに見ていたのだった。  ふと、 「ガマさんッ」と、  大きな声が部屋中に響き渡る。  御神楽である。 「どうしたんですかァ? 御神楽さん?」 「犯人が解ったんですよ」 「何とッ? それは、それは誰なんですかねェ?」  御神楽はニヤリと笑う。  そして、 「犯人はズバリッ、松木誠司ッ、……もしくは支配人・血井吸泰蔵。そのどちらかですッ」  二択ッ。  全然ズバッてないッ。 「説明しましょう。まず、松木誠司ッ。吸血革命家はマっちゃんと言うペンネーム。そしてアナタは松木だ。マっちゃんと言えば、松木。だから怪しいんですよ。それに支配人。アナタは自分のことをヴァンパイアだと言いました。それは、つまり自供です。なので怪しいんですよッ」  一瞬、場に沈黙が流れて……。 「「「「「オマエが犯人だッ」」」」」  御神楽が五人から一斉に指されていた。 「ったく、いい加減にせいや。ワシは実は東北の生まれで、広島弁もエセやっちゅう以外は、何も嘘は吐いとらん」  そうだったんですかッ。 「ワタクシのはあくまで、支配人ジョークでございます」  そうでしょうねッ 「アタシは、別に誠ちゃんのカレーに毒なんて入れてないもンねッ」  いや、それは、……どうでしょうね?     
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