狼煙をあげろ

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狼煙をあげろ

「事務所…出ない?」 クーとコウジと久々にディナーをしている僕だが、メインがくる前にコウジが爆弾を落とす。 出る…だって? 「なんで?」 驚きで言葉を失っている僕を尻目に、クーがそう聞いた。 いつものように至って何でもない事を、聞いているような軽やかさで聞いている。 「このままいても、緩やかに仕事が無くなって、露出が減っていくと思う。 正直それならそれで良いとも思う自分もいる。 でも…凄く沢山の人達が、まだ俺達を求めてくれてるのを、本当感じるんだよ」 低い声でコウジが答える。 それは僕も日々感じてる事だった。 『辞めてどうする気?』 僕がゆっくり口を開くと、コウジがおもむろにスマホを差し出してきた。 画面を見ると、電話帳が開いている。 『これ……何でこの人達の連絡先、コウジが知ってるんだ?』 「そりゃあ、チーフマネージャー経由に決まってるじゃん。 今ここに名前がある人達… 皆んな協力するって言ってくれてる」
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