明けていく夜

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…あいつが? 全くそんなそぶりは… 「…読んでたのか、手紙。」 明石が落ちていたファンレターを拾い上げる。 『あぁ… どれもこれもPioneersへの愛ばっかりだよ… ファンの子達に何にも言わなかったからな』   明石が眉間にシワを寄せる。 「……本当に申し訳ない。 やっぱりあの時一緒に…」 『やめろよ。 無理に決まってるだろ。 皆で一緒に出ようとした時のこと忘れたのかよ? …玲奈ちゃん達までマスコミに色々ロクでもないこと書かれたりしたら。 仕事を取り上げられたら。 お前だって耐えられないだろ』 明石の言葉を遮るように、続ける。 『頭ではわかってんだよ… どうしようもない事くらい。 わかってんだよ…! でも俺が、メンバーが、マネージャーが… ファンの子達が… ずっとずっと守ってきたんだよ… 30年だぞ…!!    諦められるかよ! だからファンの子達の前に立たなかったんじゃねーか。 それじゃまたって…約束したんじゃねーか!』 明石は何も言わずにじっと俺の顔を見つめてる。 『俺は戦うぞ。 絶対このまま終わらせない』     
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