狼煙をあげろ

3/3
10人が本棚に入れています
本棚に追加
/24ページ
「名前も歌も全部奪われた今の状態じゃ戦えない。 このままここで機を待つのもありだと思っていたけど…それがいつになるかはわからない。 5年後かもしれない。10年後かもしれない。もしかしたらそんな時は来ない可能性だってある。 いつになるかわからないものを待つより、外に出て、今まで出来なかった事を思い切りやるのもいいと思ったんだ。 今ある番組とかは全部失ってしまうかもしれない。0からのスタートになってしまうかもしれない。 でもずっと見てきたファンの子達が…そこにPioneersを感じて貰えるような、ガムシャラで必死な姿を見て欲しいなって」 ファンの子達が疲れてきてるのは、僕だって感じている。 これはおそらくその為の救済処置なんだろう。 コウジの揺るがない強い想いは、それ以上聞かなくてもすぐ理解できた。 Pioneersを感じてもらうためには、1人でも多い方がいいに決まってる。 軽くため息をつくと、 『やるよ。3人でやろう』 そう言った。 わざとらしくコウジが抱きついてきたので、『どうせそう言うと思って言ってんだろ、お前』と小言だけは言わせてもらった。 この先どうなるかわからないのは、どこにいったって一緒だ。 なら心が踊る方に僕も賭けてみよう。 狼煙はあがったのだから。
/24ページ

最初のコメントを投稿しよう!