2人が本棚に入れています
本棚に追加
両親から愛されない自分
学校も、どこにいても必要とされない自分)
照らす月と照らす星々を見る事だけが、奈麗にとっての唯一の癒しであり救いだった。
(私の人生には星も月もないけれど…いつか現れるのだろうか。
この闇のような私の人生を照らす存在が。)
そう考えたものの、あるわけないだろうと自嘲する。
幼い頃から奈麗は人には見えぬモノが見える。
そして、見えるが故に見えぬモノ達に狙われてきた。
奈麗が霊と話していると、霊の見えない親は大層気味悪がった。
見えぬ存在達のほとんどは見える奈麗に必死に助けを求めて縋ってくる。
けれど、その者達の救い方など奈麗には、分からなかった。
分かるはずもなかった。
救われたいのは奈麗自信であり、救われたい者が救うことなど出来るはずもないからだ。
「助けて」
「助けてくれ…」
どこからともなく聞こえてくる、すがるような声達。
姿は見えないが、闇が蠢めいている。
奈麗は耳も目も固く塞いだ。
見たくない。
聞こえたくない。
その思いは今も昔も変わらずに抱いている感情であり、変わらない想いだった。
最初のコメントを投稿しよう!