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SCENE15:かわいい天使【牙白】
ピピッという電子音の後に1班上原から連絡が入った。それは地下ルートの確保と、そこにある朧の存在、そして2層となっている地下1階部分にある制御室に向かうという内容だった。地下に向かった方が得ようとしている資料も多いことから、地下2階へと目的地を変更し、その旨を伝える──と同じタイミングで諫美が智孝達を部屋へと連れてきた。
ここで得た最大の情報であろう日誌を二人に渡し、気になったところのデータを送る。
『6月14日
とうとう我々のエンジェルが完成した。実験体の具合も良く、第2号が完成することも近いだろう。これからが楽しみだ』
『7月23日
あれから実験体の成長がとまってしまったかのように、何の変化も見られなくなった。あんなにいる中で、一体の変化もないなんて!このままでは他の奴らに先を越されてしまう。……最近、プロトタイプが成功したという噂を聞いた。いくら我々の天使が優れているとはいえ、気にならない訳がない。博士は放っておけと言うが……Rとは一体何だ?』
『8月9日
工場が襲われた。流天という野蛮な奴らが集まる組織だと聞いた。どうやら、エンジェルの肥料となるパワーストーンを狙っているようだ。我々が苦労して開発したものを無駄になどするものか』
『8月18日
二度目の襲撃。奴らはエンジェルの失敗作を連れてきた。なんということだ。いくら失敗とはいえ、我々が素手で立ち向かえるような代物ではない。……そうだ。ならば完成したエンジェルを出してしまえばいい。少し時期は早いが問題ないだろう』
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