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沈黙が訪れた。
その間も、やはり時は静かに流れていて、窓から見えるざわざわと風に揺られた葉っぱが自分達の心境を表しているようだ。
そんな中、智孝が口を開く。
「テストは中止だ。流天を調べつつ、撤退しよう。上への報告は俺がするから、遼太朗、各班長に撤退を伝えてくれ」
「了解」
「賢明な判断だと思うよ」そう言ってから、各班長へ連絡をとった。智孝の言う『上』が、以前の仲間であることと、智孝のよき理解者であることもあり、すんなりとその報告を聞きいれた。
だが、ここでちょっとしたアクシデントが起こる。
「まずいな。1班と連絡がとれない。2班はまだ下にいるみたいだから合流して地下に行ってみよう」
その問題を伝え、先頭に立ち部屋を出る。
──?数メートル先の階段に何かがいた。歩みを止めた自分の背中に、有羽は「ぶっ」と声を上げて顔をめり込ませる。
「どうしたの?」
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