SCENE15:かわいい天使【牙白】

9/9
前へ
/36ページ
次へ
 マチカはぎょっとして、何度も首を縦に振り「できる」と答えた。本当の理由に「見なくていいものを見せないため」だと気付いた有羽は、鬼には到底似合わない言葉をそっと囁いた。  ふと、マチカの様子に遼太朗は違和感を覚える。それを確認するようにこんなことを聞いてみた。 「そういえば、ここに来るまでに何か見た?」 「ううん……何も見なかった」 「──そっか。ならよかった」  マチカ、君は一体どこから来たんだろう。  その違和感を振り払うように笑みを作ると、「じゃあ行こうか」と立ち上がる。  そこへ、先程は取れなかった1班から連絡が入る。  大きく息を乱した野田実春だった。
/36ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加