2人が本棚に入れています
本棚に追加
SCENE13:出発前【有羽】
ここ字守育成施設では、その能力と特技によってクラス分けされていた。
情報収集を主に担う『華クラス』。武器の所持・使用が認められ、字守の補佐として実戦の場に向かう役目を担うのが『影クラス』。朧を扱い、それの回収や魄の浄化を行う字守たちは『雫クラス』に属した。
朧の回収や魄の浄化で実戦が伴う字守(とその補佐)たちは、傭兵としての訓練もしていて、そのレベルをはかるために年に2回ほど昇格テストが行われていた。
今日は、玖堂有羽と黄楊諫美の『影クラス』へのテスト日である。
先程任務内容を聞いた有羽達は、配属されたチームの集まる教室へと向かった。テスト生二人に対し、字守も同じ人数で評価する。「失礼します」と言いながらドアを開けた先にいる字守たちを見て鼓動が高鳴った。
もしそうであればとんでもなく嬉しい、そんな期待を抱きながら。
「え?もしかして、先生と遼が私たちの担当なの?」
「そうだよ」
「うははーい!やったー!!」
謎の喜びの声を出しバンザイをした。そんな有羽とは対照的に担任でもある智孝は呆れた息を吐いた。
「お前は……遊びに行くんじゃないんだぞ?」
「わかってるよー。でも一緒だと思わなかったから嬉しくて。ね、諫美くん」
「俺にふられても困る」
「もう、素直じゃないなぁ」
最初のコメントを投稿しよう!