12人が本棚に入れています
本棚に追加
第零章 START
嵐の前の昼下がり。踏み出す三位決定戦。
応援に出払って誰もいなくなった廊下を、白石は疾走していた。
開始五分前だというのに、ヘアアレンジに余念のないメンバーが一人、化粧室から一向に戻って来なかった。結局見つけることの出来ないままに、急いで体育館に向かう。
やっとの思いでコート裏に辿り着いた時、リーダーの金本が、未だに精神統一をしていてげっそりした。目をつむったまま座禅をして、ピクリとも動かない。
白石は手際よくクラスのみんなを誘導し、チームメイトにゼッケンを配った。
三分前になった頃、ようやく金本がベンチ入りしてきて、“円陣を組もう”と言った。相変わらず一人不足したメンバーにイライラしながらも、白石は戦友と肩を組んだ。
最初のコメントを投稿しよう!