第三章 奇妙な静寂

1/4
前へ
/55ページ
次へ

第三章 奇妙な静寂

のんちゃんが第五特別教室に向かったのは、それから数日後の夕方のことだった。そこでは毎年、球技大会の対戦相手を決めるくじ引きが行われる。本来は、リーダーである金やんが行くべきなのだが、チーム全員でジャンケンをした結果、一番強かった彼女が選出された。当番たちが掃除に励む中、バスケメンバーはいつでも席に戻ることが出来るよう、廊下をうろうろとしていた。5限から自習室にいたはずの教授でさえ、身支度を整えてデンジャーと額を突き合わせている。彼女がいつも持ち歩いている手帳には、各クラスの選手名と、それぞれのプレーの特徴が事細かに記されていた。終始神妙な面持ちの教授とは裏腹に、デンジャーは時折眉間にしわを寄せているものの、大半は余裕の表情を見せていた。     
/55ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加