第二章 シュートチャンス

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第二章 シュートチャンス

金やんがボールを構えると、途端に全員の目が変わった。 誰が指示したわけでもないのに、センターサークルからフリースローラインまでの広い範囲に身を置き、膝を折った低姿勢で構え始めた。 その空気に一人乗り遅れた桜井は、ひとまず誰もいない味方のサイドライン近くに立った。 相手は4人なので、桜井のチームより1人少ない。だが、選抜である金やんとシロ、学年対抗リレー代表の“チーター”、ロングシュートに自信のある“ハッピー”が入っており、なかなか侮れないメンバーだった。いや…桜井自身が戦力外であることを考えると、この試合はもはや“4対4”と同じだった。桜井は、自分のチームをぐるっと見回した。 なるほど、こちらのチームにはかろうじてデンジャーが控えているが、他のメンバーは積極的に攻めに回ることが出来ないように思えた。ただ、デンジャーも含めて長身の“のんちゃん”と“教授”、守護神の異名をとる“ミラコー”がいるから、どちらかといえば守備に強いチームとなっており、まさに矛と盾の布陣であった。     
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