最期の願い

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激しい打ち合いが始まった。 俺にとってはまだまだ遅い剣閃だが、人間からすれば恐ろしく早く感じるだろうな。 何合打ち合ったか数えるのすら面倒くさいほど、俺は今疲れてるんだ。 ここに来る前まで、東の大陸でずっと走り回ってたからな。 「くっそ!」 ディアスが舌打ちしながら口を突く。 少しばかり生まれた俺の隙を突いて放ってきた燕返しのような技を、俺が容易く躱したからだろう。 それと同時にわざとらしく後ろに飛び退いて距離を置いてやった。 「なんだ、その程度か?勇者ってのは。」 これ見よがしにわざとらしく両腕を広げて言ってやった。 ああ、なんて意地悪い奴なんだろう、俺。 「まだまだぁっ!!!」 そう叫んでいきり立つディアスは、左手に集中させていた魔法を漸く放ってきた。 「無詠唱で神位魔法か…。」 こいつ、魔法に関してはふざけて規格外だな。 俺ですら神位魔法は詠唱が必要なのに。 放たれた魔法は螺旋を描きながら高速で俺に向かって飛んで来る。 氷属性神位魔法、エターナルゼロ。 放たれた瞬間に、空気中の全てを凍てつかせ、それを帯びた高密度の魔力が巨大な弾丸の如く飛んで来る。 こいつは面倒なんだ、躱しても追っかけて来るし、無理矢理ねじ伏せようとしても高密度の魔力はそう簡単に砕けないから搔き消すのも一苦労。 そう考えながら、俺は剣に魔力を集中させて思い切り下から上に振り上げ、飛んで来るエターナルゼロに向かって剣閃を合わせた。 上手い具合に上空に弾いた氷の巨大な弾丸は、弾かれて尚、急激に地上に向かって落ちて来る。 この追尾性能が本当に腹立つ。 だが、真っ直ぐに俺に向かって落ちて来た弾丸を、接触する直前に後ろに飛び退いて躱すと、弾丸は地面に突き刺さった。
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