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桜の木の下
母が亡くなり、葬儀や遺品整理のために田舎へ戻って来た。
親戚や母の懇意にしていただった人達とも挨拶が終わり、あとは遺品整理を残すのみとなり一息つこうと縁側に腰をかけた。
「ここの庭、昔と全然変わらないなー」
母の家の小さな庭には、大人になった今でも大きいと思える桜の木が一本植わっていて、
桜の木ももう寿命なのか、桜はとっくに咲いている季節にもかかわらず、一輪の花も咲いていなかった。
ぼーっと眺めていると、ふと幼かった頃に同い年くらいの女の子とよく遊んだことを思い出した。
(そういえばあの子はどこの子供だったんだろうな。葬儀には来てなかったみたいだけど)
長旅と慣れないことの連続で疲れていたのかいつのまにかうとうとしてると、桜の木に隠れるように女の子がこちらをのぞいていることに気がついた
「こんにちは、どこの子かな?」
「お兄さんはここのお家の人ですか?」
「そうだよ、ここには俺のお母さんが住んでたんだ」
(お葬式に来てくれた人の子かな?迷子になったんなら連絡しないとな。)
「そうなんだ、おばちゃんはもういないの?」
「そうだよ、もう遠くに行っちゃったんだ」
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