ふたりきり

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私は重い足取りで図書室へ向かう。 私には顔良し頭良し運動神経良しだけど少し性格に難がある異性の幼馴染がいる。もっとわかりやすく言うと、少女漫画によくいるちょっとイジワルなイケメン。 私は彼の事をただの幼馴染としてしか見ていない。周りの女子はそれが気に食わないらしく、私とその幼馴染が一言でも言葉を交わしたりすると私に嫌がらせをしてくる。 図書室で下校時刻ギリギリまでいれば幼馴染と会う事はほとんどない。だから私は図書室に行く。 ドアを開ければ暖房で暖かくなった空気と独特な本の匂いが私を包む。 私は適当に本棚から1冊引っ張り出すと、隅の席に座って本を開いた。 正直図書室はあまり好きじゃない。読書自体大して興味がないし、図書室や図書館独特の古本のにおいは酔いやすいし。 ただ、避難所に丁度いいからいるだけ。夏は冷房が効いてるし、真冬の今だってちゃんと暖房がついててホッとする。 何より読書の邪魔にならないようにと電波やWiFiを妨害する機械が設置されているのがいい。 冷暖房が効いてるからギャルやDQNの溜まり場になりやすそうだけど、スマホが一切使えないから彼らはここに来なかった。 そして放課後は図書委員の生徒がひとりと、ほんの数人の生徒しかいないのが魅力的だったりする。 本を読み終えて元の場所に戻してから時計を見た。後3分で下校時刻になる。 私はカバンを持ってドアを開けようとした。 カチャ 「え?」 パチンッ 「きゃっ!?」 図書室が真っ暗になってしまった。 ドアを開けようとしてもガチャガチャと耳障りな音がするだけで、開きそうにない。 「あっはは!いい気味ー!」 「優也くんと関わるからよ!」 声の主達は私に嫉妬してるクラスメイトだ。
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