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「暖房、止まっちゃいましたね……」
はやくもゆっくり冷えてきた空気に心細くなる。
「そうだね。ちょっと待ってて」
先輩は自分のスマホを持つと、その明かりを頼りに歩き出した。
不安になりながら目で追ってると、先輩は図書準備室に入っていく。
(何してんだろ?というかあそこ何があるんだろ?)
図書準備室に入れるのは図書委員と先生だけだから、私は入った事がない。
先輩はすぐに戻ってきた。
「あそこで何してたんですか?」
私は図書準備室を指差して聞いた。
「下準備ってところかな?まぁすぐに分かるよ」
不安がる私と真逆で、先輩はどこか楽しそう。
数分もすると図書室はだいぶ冷えてきた。先輩はリュックサックにお菓子をしまうと、ゆっくり立ち上がる。
「充電器持ってる?」
「カバンにありますけど……」
「じゃあカバン取りに行こう」
先輩に言われ、またわけも分からず行動する。
カバンを取ると、先輩は私を図書準備室に入れてくれた。
「わぁ……!」
図書準備室はひどく縦長の部屋で、横幅はふたり並べる程度。せまく細長い部屋には小さな電気ストーブがついていた。
「蛍光灯取り替えてなくて暗いけど我慢してね」
先輩はそう言いながら何かを広げている。
「あの、何してるんですか?」
「寝袋だよ、寝袋。これでよし、と」
先輩は寝袋に入ると、手招きした。
「桐谷ちゃん、おいで」
「でも……」
いくら先輩が優しくても、今日初めて喋る男性と一緒に寝るのはかなり抵抗がある。
「大丈夫大丈夫、変な事しないから。あ、言い忘れた。コンセントそこにあるからスマホの充電したらおいで」
先輩はコンセントを指差して言う。
私はスマホの充電をしながらふと疑問が浮かぶ。
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