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「先輩、ここもスマホ使えませんかね?」
「無理」
先輩は即答し、私はガックリと肩を落とした。
「そんなに同じ寝袋は嫌?」
「そんな事ないです!あの、もしかしたら助け呼べないかなって思っただけで……」
悲しそうに言う先輩の言葉を慌てて否定した。
「そっかー。でも残念ながらここも電波とWiFi使えないんだ。だから、おいで?」
先輩は再び手招きをする。
(ここで断ったりしたら傷つけちゃうよね……)
「では、失礼します……」
私は覚悟を決めると、緊張しながら寝袋に入った。
私が寝袋に入ると、先輩は私を抱きしめて寝袋のジッパーを閉めた。
寝袋に入る前の緊張が嘘みたいに解け、安心感が胸いっぱいに広がる。
「少しはやいけど寝よっか。おやすみ、桐谷ちゃん」
「はい、おやすみなさい。先輩……」
先輩にしがみつけば睡魔はあっという間にやってきた。
文字通り甘い先輩の息が髪にかかる度に眠くなり、眠る寸前に私は先輩が好きなんだって気づいた。
翌日の8時過ぎ、私達は先生方に助けてもらった。
私達を閉じ込めたクラスメイトは謹慎処分になった。
私は先輩に告白されたけど流石にまだお互いの事を知らなすぎるので、いつかお付き合いするという約束をして友達になった。
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