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「じゃあ、山田さんはそこの席に座って。」
「はい、」
山田 花子は軽く先生に会釈すると後光が差しているのかと思うくらいに眩いオーラを撒き散らしながら机の間を歩いて、自身の席に着いた。
「ヨロシク。」
「え、ぁ…」
俺の隣の席に!!
「…ぁ、ょ…ヤラシク。」
「百春!"宜しく"を噛んで"ヤラシク"、って言ってんぞ馬鹿!やらしくなってどうすんだ!!」
「バカ百春!最低ー!!」
ギャーギャーうるさい級友の声など、頭がぶっ飛んだ彼には届かない。
「フフ、」
「!」
クスリと笑う彼女は、本当に綺麗だった。
「面白いね、キミ。」
「ありが、とう…」
何でだろう、
「ぉ、俺…横木 百春、ヨロシク。」
「うん、"知ってる"。」
「え?」
何でだろう、
「ょ、ヨロシク。」
「ウフフッ、何回ヨロシクって言ってるの横木くん?」
「あ、あぁ…悪ぃ!アハハ…」
この子と顔を突き合わせていると、言い知れぬ恐怖が湧き上がって来るんだ。
(何だ……?)
これは、ただの予兆。
「楽しい学校生活になりそう、」
ぞくり、
山田 花子、ヤツが口走った言葉に、全身が粟立った。
「やっと見つけた、''V"《ヴィー》。」
俺の日常は、この女により脆くも消え去る事になる。
良くも、悪くもー…ー…
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