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俺の住む街は日本の首都、東京。
ぎ、っ…ち…こん。
錆びたギアチェーンを軋ませて、俺はチャリに跨り高校へと向かう。
「姉ちゃん、たまには車で送ってよ。」
「レギュラー満タンにしてくれるならいーよ。」
「その考えカッケェ。」
それならタクシーで行くっての。
俺の住む地域は、まぁ都会住宅街といった地区だ。所狭しと一軒家が陳列され、所々にアパート、そして一際目立つ駅前方面では勝者の巣窟となっているタワーマンションが鎮座する。
「ほれほれ~ペダルが弱いぞ弟よ、進まんかい。」
「姉ちゃんが重いから進まねーんだよバカ!」
電車で都内の大学に通う俺の姉・【閑駒】。高卒後にすぐに金髪に染めた所から分かるように、ヤツは遊び人だ。
「くそ、俺だって高校卒業したら遊びまくってやる。」
「いやいや、絶対高校の方が楽しいって。大学とかダルいし、講義もちゃんと受けないと進級できないしさー、高校とか自動でエレベーター進級じゃん?」
「……けっ、Mr.二日酔いが何を言う。」
「せめてMs.と言え。」
緩い会話を残して、駅前で別れた。
駅からは、俺の通う白川高校はもうすぐだ。
シャーーー…
人行く道を、素早く切り裂く。
「はーー…、ノーマルな人生歩んでんなぁ、俺。」
ただまぁ、厄介なのは、それを俺が幸せだと思ってる所である。
「案外普通ってのは、最も有り得ない状態なんじゃないか?」
うむ、我ながら今のは哲学的な発言じゃあないか?俺。
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