1次元ー白金の女ー

5/9
前へ
/220ページ
次へ
俺の住む街は日本の首都、東京。 ぎ、っ…ち…こん。 錆びたギアチェーンを軋ませて、俺はチャリに跨り高校へと向かう。 「姉ちゃん、たまには車で送ってよ。」 「レギュラー満タンにしてくれるならいーよ。」 「その考えカッケェ。」 それならタクシーで行くっての。 俺の住む地域は、まぁ都会住宅街といった地区だ。所狭しと一軒家が陳列され、所々にアパート、そして一際目立つ駅前方面では勝者の巣窟となっているタワーマンションが鎮座する。 「ほれほれ~ペダルが弱いぞ弟よ、進まんかい。」 「姉ちゃんが重いから進まねーんだよバカ!」 電車で都内の大学に通う俺の姉・【閑駒(しずく)】。高卒後にすぐに金髪に染めた所から分かるように、ヤツは遊び人だ。 「くそ、俺だって高校卒業したら遊びまくってやる。」 「いやいや、絶対高校の方が楽しいって。大学とかダルいし、講義もちゃんと受けないと進級できないしさー、高校とか自動でエレベーター進級じゃん?」 「……けっ、Mr.二日酔いが何を言う。」 「せめてMs.と言え。」 緩い会話を残して、駅前で別れた。 駅からは、俺の通う白川高校はもうすぐだ。 シャーーー… 人行く道を、素早く切り裂く。 「はーー…、ノーマルな人生歩んでんなぁ、俺。」 ただまぁ、厄介なのは、それを俺が幸せだと思ってる所である。 「案外普通ってのは、最も有り得ない状態なんじゃないか?」 うむ、我ながら今のは哲学的な発言じゃあないか?俺。
/220ページ

最初のコメントを投稿しよう!

9人が本棚に入れています
本棚に追加