第3章 彼女の事情

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「わかったよ。今度、一緒に公園に行こうね」 「朔ちゃんも一緒にね」 「朔夜くんも?」  なんで急に朔夜くんの話をするのだろう。 「おととい、お店に来たんでしょう? お父さんが言ってた」 「うん、ごはんを食べにきてくれたの」 「僕も会いたかったな。またサッカーしたい」 「朔夜くんはサッカーが上手だもんね」  わたしはサッカーがド下手。そのため築は基本的なテクニックはすべて朔夜くんから教わった。  築はそんな朔夜くんをすごく慕っていて、朔夜くんが引っ越しした後、しばらくはかわいそうなくらいにテンションも落ちてしまっていた。  でもごめんね。あの頃とは状況が違うから、朔夜くんに築とまたサッカーをしてやってとはお願いできないよ。そんな図々しいことは無理なの。  わたしは築をベッドに寝かせた。「おやすみ」と頭をなでると、無理して起きていたのか、目を閉じてすっと眠りに入っていく。  かわいい寝顔を見ながら切なくなる。  朔夜くん……。もうあの頃には戻れないのかな。  戻りたい。時間を巻き戻せるなら、もう二度とワガママなんて言わないから……。  でもそこまで考えて頭を振った。だめだめ、わたしは嫌われてフラれた立場。そんなこと期待するだけ無駄なんだ。  わたしは改めてそう思い直した。自分がこれ以上傷つかないために。
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