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それから5分ほど歩いて自宅に着くと、朔夜くんが感慨深げに言った。
「ぜんぜん変わってないなあ」
朔夜くんがこの街から引っ越してから約2年。そりゃあ、たった2年でそう変わらないだろうと思うんだけど、朔夜くんはしばらくそこを動かなかった。
「ちょっと寄ってっていい?」
突然、朔夜くんがそんなことを言う。びっくりしたけど、だめとも言えず、「別にいいよ」と返した。
「たぶん、お父さんたち、お店にいると思うから」
お店というのは、両親が営んでいる小さな食堂のこと。『たちばな食堂』といって、『あかね通り商店街』の通り沿いにあり、わたしの自宅はお店の裏にある。
以前、朔夜くんはうちのお店で何度も食事をしていて、両親も朔夜くんのことをよく知っている。
朔夜くんとの交際は、学校の友達には内緒だったけれど、お互いの家族には公認だった。
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