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もう一度サンダルを履いて通りに出ると、待っていたヨウくんがわたしに気がついて歩み寄ってきた。
「お待たせ。はい、これ。電子レンジであっため直して食べて」
わたしはカレーとごはんの入った紙袋を渡した。
「いいのか?」
「うん、わたしが作ったの。カレーなんだけど、ヨウくん好きでしょう?」
「ああ、大好きだよ。悪いな、助かるよ」
もしかすると、今日は家でゆっくりしたい気分なのかもしれないと思った。
わたしの手料理で申し訳ない気もするけれど、普段はコンビニ弁当が多いだろうし、カレーなら食べやすいだろうから。
「ありがとな」
面と向かってお礼を言われると照れくさい。けれど、こんなわたしでもヨウくんの役に立っているんだと思ったら、うれしかった。
「ううん、ぜんぜん! だってたくさんお世話になってるもん。これぐらいじゃ、足りないくらいだよ」
「そんなことないよ。天音は俺にとって元気の源だから。天音の笑顔は癒やされる」
「やだ、なんかそういうの照れるし、大げさ……」
「そんなことないよ。天音が鳴海くんと別れたとき、泣いて落ち込んでいるのを見てるのは、俺も苦しかったよ」
「そんな昔のこと……」
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