第7章 ここで君を待っていた

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 今日から9月に入った。  ヨウくんが昨日言っていた通り、赤羽さんが久しぶりに登校してきた。  赤羽さんが教室に入ってきた瞬間、クラスのみんなの視線が一斉に彼女にそそがれ、教室がざわついた。けれど赤羽さんは、背筋をピンと伸ばし、堂々とした態度で自分の席まで歩いていた。  残念ながら、朔夜くんとの仲を怪しむ声はいまだに消えていない。朔夜くんは、自ら進んで誤解を解くつもりはないらしく、陰で誰になにを言われても徹底的に無視を決め込んでいた。  朝のショートホームルームの時間になった。  ヨウくんは教室を見まわし、欠席者がいないのを確認すると、来週からはじまる定期考査の日程について話していた。 「先生」  ヨウくんからの連絡事項が終わると、ひとりの男子が声を発した。 「なんだ?」 「ほかのクラスのやつから聞いたんですけど。鳴海くんと赤羽さんって、ラブホから出てきたところを警察に補導されたって本当ですか?」  教室中が騒然となった。  バレてる……。  といっても、それは事実ではないけれど、どこからか情報が漏れてしまったようだ。
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