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その日はずっとうちのクラスは落ち着かなかった。
口を開けば朔夜くんと赤羽さんのことばかりで、視線は常にふたりのどちらかに集中していた。
掃除の時間になっても、その状況は続いていて、わたしが黒板を掃除していると、3人の女の子グループに取り囲まれる形になった。
「ねえ、橘さん。あのふたりのこと、どう思う?」
3人のうちのひとり、リーダー格の馬渕さんがたずねてくる。
「どうって?」
「事情を説明するべきだと思わない? 警察まで絡んでるのに」
「でも貴島先生が言ってたじゃない。うわさはデタラメだって。それでいいんじゃない?」
「鳴海くんと赤羽さんがどういう関係なのか、知りたいと思わないの?」
「思わないよ」
「嘘ばっかり、興味あるくせに。赤羽さんって地味子をよそおってるけど、鳴海くんのことをたぶらかしたんだよ。橘さんもそう思わない?」
「別にわたしは……」
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