第7章 ここで君を待っていた

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 この人たちはいったいなにを期待して、そんなことを言っているんだろう。  なんの根拠もないのに、くだらないことばかり言っている。 「絶対に裏の顔があるんだよ。相手は鳴海くんだけじゃないよ、きっと」 「わたし、赤羽さんと同じ中学だった人から聞いたんだよね。中学のとき、友達の彼氏に手を出したり、セフレみたいな男友達が何人もいたって」 「鳴海くんも鳴海くんだよね。そんな女に引っかかっちゃって」 「ほんと、まぬけー。女だったら誰でもいいのかな」  馬渕さんの取り巻きの子たちまで、そんなことを言い出した。  事実がねじ曲げられている。セフレなんているわけないじゃない。  朔夜くんのことまでばかにして……。  だいたい裏の顔って言うけど。赤羽さんは前にいじめられたことがあったから、それで人が怖くなって目立たないように振る舞ってきただけなのに。それなのに、それが悪いことみたいに言わないでほしい。 「橘さんもそう思わない?」 「思うわけないでしょう!」
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