第7章 ここで君を待っていた

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 馬渕さんの声にイラッとして、思わずムキになって言ってしまってけれど。  今のまずかったかな。  でもすでに手遅れだったようで、馬渕さんとほかのふたりがお互いの顔を見合わせた。 「やだあ。橘さん、なんで怒ってるの? 意味わかんないんだけど」  馬渕さんがおもしろがるように言う。  もう限界だ。これ以上、この人たちの話を聞きたくない!  そう思ったのとほぼ同時だったと思う。溜まっていた鬱憤(うっぷん)を、馬渕さんたちに向かって吐き出していた。 「意味わかんないっていうのは、こっちのセリフ。赤羽さんがたぶらかした? 彼女はそんな子じゃない。鳴海くんだって、すごく誠実な人でやさしくて、だから……」  夜中に泣きながら歩いていた赤羽さんを放っておけなかったんだよ。自分の立場が悪くなるのを承知で、赤羽さんのためになにも語らなかったんだから。  だから、お願い……。 「鳴海くんのことを、悪く言うのもやめて!」
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