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「じゃあなんで補導されたの?」
「赤羽さんと偶然会ったのがラブホの近くだったから警察に勘違いされたってだけ。あと、深夜に出歩いていたから」
「そんな言い訳が通用すると思ってるの?」
「言い訳じゃなくて本当のことだよ。ラブホの防犯カメラをチェックして、それが証明されたから、処分なしになったんだよ」
この返しに馬渕さんはぐうの音も出ないようだった。クラスのみんなも納得したのか、反発する人はいない。
だけど、これで怯む馬渕さんではなかった。
「赤羽さんのことはとりあえずわかった。でも橘さんにはかかわらないほうがいいと思うよ」
「はっ? どういう意味だよ?」
朔夜くんが少し焦りを見せ、馬渕さんが不敵な笑みを浮かべる。
馬渕さんの視線がわたしに向けられ、わたしは嫌な予感を覚えた。
「橘さんって人に取り入ろうといつも必死だなって前から思ってたんだけど。まさか貴島先生にまでとは思わなかったな。ねえ、橘さん、ここまで言えばわかるよね?」
「……な、なんのこと?」
急にヨウくんの名前を出され、まさかとは思ったが……。
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