第7章 ここで君を待っていた

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「否定しないってことは、そう思っていいんだよね?」  なにも言えないわたしに、馬渕さんが追い打ちをかけてくる。 「……ちが、違う」  やっとの思いで声にする。でも唇が震え、強く否定できない。 「なにが違うの? ふたりきりで会っていたのは事実なのに」 「あれは用があって。ただそれだけで……」 「用ってなに?」 「それは……」  本当のことを言ったほうがいいのかな。  でも言ったところで信じてもらえるのかわからない。  それにヨウくんとわたしは、みんなから見たら教師と生徒以上の関係に思えてしまうのは無理もない。少なくとも昨日の夜はそうだった。  そのときだった。 「なあ、橘?」  男子のひとりがニヤニヤしながらわたしを見る。 「貴島先生とそういう関係ってことは、来週の定期考査の問題も教えてもらってるんだろう? 俺らにも教えろよ」  なんでそんなこと言うの?  ヨウくんがそんなことをするわけない。教師として自覚を持って、わたしとの距離も適度に保ってきたんだ。  最近はその関係が揺らぎつつあったのは事実だけど、わたしたちの間にはやましいことなんてない。  すごく悔しいよ。ヨウくんのことまでそんなふうに言うなんて。
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