1096人が本棚に入れています
本棚に追加
「七瀬さーん!」
「加世ちゃん!?」
赤羽さんが声をかけると、そのバーテンダーさんがすっとんきょうな声をあげた。
赤羽さんのことを下の名前で呼んでいるんだ。だけど、それほど深い仲ではないと感じる。
七瀬さんと呼ばれた人は、それほど歓迎している感じではなく、むしろちょっと困っているようだったから。
「七瀬さんに会いにきちゃった」
「まさかほんとに来るとは思ってなかったよ。おうちの人は大丈夫なの?」
「うちの親なら平気。言ったでしょう。スナックをやってるって」
「そういう問題じゃないよ」
七瀬さんは心配そうな顔をした。
見た目とは違い、人あたりがいいし、常識的なことを言っている。もしかしてまじめな人なのかな。
「そっちの子は?」
七瀬さんがわたしに視線を移す。
「同級生なの」
「じゃあ親御さん、心配してるんじゃない?」
「この子の親も夜働いているから大丈夫。でも水商売じゃないよ、ねっ?」
赤羽さんがわたしのほうを向いて、続きは自分でと促す。
最初のコメントを投稿しよう!