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おかしな名前の男4
「こりゃあ参った」
陽介は大仰な動きで立ち上がると、座ったままの海老石の周りをゆっくりと歩く。
「あなたが犯人だ、なんて名探偵に言われたんじゃ逃げようがないですよ」
「ええ、そうですよ。江上先生は実に運が悪い。僕がこの事件に首を突っ込んでいなければ完全犯罪を達成できたかもしれないのに」
「確かにそうですね。ただね、海老石さん。私はやはり運がいいようだ」
にやりと笑うと陽介は言った「あなたは名探偵でもなければ、私は犯人でもないのだから」
陽介が精一杯の皮肉をこめて放った言葉を、海老石は意に介さず笑った。
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