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「海老石さんが私のことを犯人だと思うのは勝手ですよ。ただ思うだけに留めておくべきだった」
「それは無理でしょう。僕という探偵は真実を暴かずにはいられませんから」
「真実ではないでしょう。虚実だ」
陽介も海老石も、互いが不適な笑みを浮かべる。こんな状況にも関わらず、なぜか陽介は普段よりも冷静でいる自分に恐ろしさを感じた。
「いいでしょう。そこまで私のことを疑うのなら、それなりに証拠というものがあるはずだ。例えばそう、凶器とか」
警察が凶器を未だ発見できないでいることはネットニュースで把握している。先ほどの海老石の口振りからするに、さしもの名探偵も凶器の特定まではできていないはずだ。
「ああ、凶器。それはもう分かっていますよ」
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