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2話:「頭蓋のゆりかご」
あらすじ
常より憂鬱な日、ただそれだけのはずだった。家の扉を開けると、そこに居たのは正体不明の触手。少女は抵抗するものの、次第に触手へと心を開いていく。日常の中で、非日常に絡め取られる……。
種族:触手×少女 CP♂×♀
2話:「頭蓋のゆりかご」作:にらみじゃくし
コンクールに出すイラスト、満足に仕上げられなかった。入学式から思ってるけどやっぱりスカートって足に風が絡まるみたいで気持ち悪い。さっきからずっと嫌なことで頭がいっぱいだ。歯を噛みしめて、ペダルをけりつけた。一番重いギアにして自転車を飛ばしたら、少しは苛立ちも紛れてくれる。――いつもならだけど。秒速どれくらいかで通り過ぎ、また現れる景色に唾を吐きたいくらい嫌悪感が湧く。こんな正体も分からないのにやり場のない気持ちを抱えるのは久しぶりだった。学校で溜まることはペダルを蹴っていれば大抵は忘れられるのに、今日は不機嫌なままだ。
「早く、帰りたい」
つぶやいた声の情けなさがうっとうしかった。爆発寸前の頭で自転車を家の駐車場へ置き捨て縁石を踏みつけ、玄関まで来て、ようやく大きく息を吐く。
……駄目だ、全然冷静になれない。ものにまた当たってしまう未来が見える。仕事で親は二人とも家にいないことが、救いとは言えるかもしれない。いや、でも、こんな時こそ話を聞いてくれればいいのに。だめだ、やっぱりどうしても今日だけは憂鬱だ。ドアのカギを回して、ドアノブを引いて中に入ろうとして突然抱きこまれた。
肺から呼吸が全部吐き出されて、脳みそもついでのように機能停止したけど間違いで、瞬間伸びてきた無数の糸に体が捕まえられ――。
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