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どういうことかわからず目を白黒させていると、私の体は宙に浮きあがった。嘘でしょう。浮遊感が気持ち悪くて悲鳴も出せずにいると、そのまま居間に引きずり込まれる。
そこにあったのは、――赤い色のぶよぶよしたものだった。
気持ち悪さはそのまま口から飛び出た。こんなもの今まで家になかったし、心当たりもない。あまりにもわけがわからなくて、さっきまであったイライラは吹き飛んだ。
「や、……やだ、ナニっ」
手足を振ろうと力を籠めようとして――ものすごいスピードで目の前へ迫ってきた触手に危険を感じてやめる。
一見平らに見えたそれの表面は、ニキビあとみたいにぼこぼこだった。うっすらと光ってるのは、ぶよぶよから出てる汁だと思う。
触手は私を地面に下ろす気がないみたいだった。さっき目の前に来た触手が、ゆっくりと先っぽを揺らす。すりこぎくらいの太さだ。力が強いことは私の体を宙に浮かせてることで簡単にわかるから、きっとすぐに私なんか絞め殺せるんだろうな。意味が全然分からない。どうして私がこんなことにならなきゃいけないんだ。
・・・・・・続きは本誌で
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