3話「天気職人が居る街で」

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3話「天気職人が居る街で」

あらすじ まるで心を持っているかのように、天気がころころと変わる街だった。小雨降る中で偶然出会った二人は、次第に距離を縮めていく。しかしある日、突然に別れを切り出され――。 種族:街の化身(見習い)×男 CP:無性別×♂ 3話「天気職人が居る街で」作:最上翔 1  それは、不思議な雨だった。 『ねぇ。 どうしてきみはないているの?』  あんなに悲しかったはずなのに。  今、僕の心はどうしてだろう、あたたかなものが流れ 込んでいた。 『かなしいことがあったの?』  そのあたたかなものがなんなのか、わけもわからず  また、泣いた。 『だいじょうぶだよ。』  泣いて、泣いて。 『ぼくが、なぐさめてあげるから。』  気付けば、涙は止まり、自分がなぜ泣いていたのか  なんて忘れていた。 2 「すみませんそこ退いて! …おっと、失礼。急いでるもので……すみません、通して!」  小雨が降る中、大量の書類を抱え走る男が一人。  突然の雨なのだろう、大通りを歩いていた人の足も次第に早くなっていく。その人の波に逆らって走る男にぶつかる通行人は、彼に向かって解りやすく眉をひそめた。  それでも彼の足は止まらない。  何故なら抱えている書類をこれ以上濡らすわけにはいかないからだ。加えて時間もないとくれば彼の心は焦るしかないのであった。 「うっ…う…親方ひどいよ…なにもあんな怒んなくてもいいじゃんかああ!  僕が何したっていうのさ! うわあああん!」  早足の人波に身を任せわんわんと大声で泣く人物が一人。  不思議と人々はその人物を気にする様を見せずに過ぎ去っていく。そしてその人物も、気にせずに醜態を晒している。その鳴き声に呼応して、雨も強くなっていく。 「あー、失礼、はいはい通りますよー! わ、ととと……うわああ!?」 ・・・・・・続きは本誌で
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