3人が本棚に入れています
本棚に追加
第4話 仲間
青年に手を引かれながら進んだ扉の先には、真っ直ぐに伸びる廊下があった。
その両側には、間隔を空け、部屋に繋がると思われる扉が並んでいる。
こんなにたくさんの部屋、いったい何に使われているのだろう。
思ったが、その答えは次の瞬間、いとも簡単に導かれた。
「・・・・入るね」
他と比べてやや大きな扉の前で立ち止まり、ノックしながら青年はそう述べ、ドアノブに手をかけた。
「ああ、待ってたぜ!!」
扉が開くや否や、溌剌とした声が響いた。
そこにいたのは意志の強そうな目をした青年だった。その顔立ちはとてもはっきりとしていて、まだ彼のことを何も知らないわたしが、
きっとそのパーツ達は彼の様々な感情をとても上手く表現するのだろうと分かった。
「ごめん。彼女、当たり前だけどとても憔悴していたから、ゆっくり来たんだ。
・・・タイチ、ナナは?」
タイチ、と呼ばれた彼は、その口角の上がった唇に大きく笑みを浮かべた。
「ついさっき、飯作るようにって呼ばれて出てったとこ。部屋で出すだけ言ってたから、すぐに戻ってくるだろ」
ナナさん、という人もいるのか。食事を作る為に呼ばれたということは、この屋敷の使用人でもしているのだろうか。
わたしの思考を呼んだかのように、タイチさんは話し出す。
最初のコメントを投稿しよう!