第4話 仲間

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「来たばかりの日なんて、俺は誰とも話すことすら出来なかった。・・・あんたは、きっといい子なんだな。とりあえず今日はしっかり休めよ」 そうそう、と、ナナも続ける。 「何も覚えていないのって、自分を支える軸が無くなってしまったみたいで・・・とても怖いのよね。 でもきっと大丈夫よ。少しずつ思い出すわ。 そうしたらあなたというものが見えてきて、またしっかり立てるようになるから。今のわたしみたいにね」 気付くと、頬を何かが伝った。 ・・・・あれ、何だこれ。もしかして、わたしは泣いてるのか。 記憶は残っていないけれど、悲しみや絶望以外の理由で涙を流したのは、とても遠い昔の事だったように思えた。 「・・・行こうか。」 サエトの穏やかな声がした。 2人に見送られながら部屋を出て、わたしはその背中を追って廊下を歩き出した。 つい先ほどこの部屋に向かって歩いていた時よりも、ほんの少しだけ、心の奥に光が灯ったような気がした。
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