第一話

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第一話

 気持ちはなく、ただ、身体だけの関係。  相手の考えていること、本当の気持ちがわからない。 「――んっ、あ、ああっ……! あっ、あっ」  毎晩、だるい身体を奮い立たせて、目の前の男に身体を拓いていく。快楽の片隅で、どうしてこうなってしまったのだろうか、とぼんやり考える。  だが、考えたところで、今更どうすることもできないのだ。 「……はっ、集中できてないようだが?」 「っ、ひ! あっ、ち、ちがっ……んあっ、ああっ!」  強い突き上げに現実へ引き戻される。最奥を突かれ、その反動ではしたない性器が熱を解放した。迸る精液が身体をデコレーションしていく。  同時に男も、彼の強い締め付けで肉筒の中で果てた。  叩きつけられる熱が、更に快楽の地へといざなう。少しずつ意識が遠のいていく中、この、抱かれている男と出会った頃のことを思い出していた――。  彼と初めて出会ったのは、約一年前のこと。  十六歳になったばかりの望は、平穏な高校生活を楽しんでいた。  しかし、その平穏な生活が一気に崩れたのはあっという間だった。今でも信じられないでいる。     
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