第一話 将来の夢

3/4
前へ
/12ページ
次へ
 メープルはとても活発で元気な子でした。よく食べてよく遊んでよく眠る、そんな子でした。モルモットは草食動物であるというその臆病な本能から、目を開けたまま寝たり、少しの物音でもすぐに目を覚ます傾向にあります。  メープルも最初はそうでした。けれども茉菜ちゃんは学校から帰ったらすぐにメープルのお世話をしたり遊んだりして、いつもそばにいましたし、お父さんお母さんも時間が空けばメープルのお世話をしたり遊んだりしました。  その甲斐あってか、メープルは目を閉じてゴロンとお腹を出しで熟睡するようになりました。お腹を出す行為は、警戒心の強いモルモットの場合、相当強く信頼し、全面的に安心しきらなけらばまずあり得ない行為です。  メープルは皆に愛されてスクスク、ぷくぷくと育って行きました。 茉菜ちゃんはメープルを種族を超えた弟だと思っていましたし、メープルもまた、茉菜ちゃんをお姉さんだと思っていました。  ある日、茉菜ちゃんは学校の読書の時間に童話を読んでいました。そこにはこんな事が書かれていました。 ーーーーーーー  モルモットの寿命は三年から八年です。ですが十年生きればカピバラになれるという伝説がありました。よく眠る子ほどよく育ちます。 ーーーーーーー (そうか! メープルが頑張って十年生きたら、カピバラさんになれるんだ!)  茉菜ちゃんはとっても嬉しくて体中がゾクゾクしました。より一層、メープルを大切にしよう、沢山食べて沢山運動して沢山眠って貰おう、そう思いました。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

7人が本棚に入れています
本棚に追加