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「メープル!」
学校から帰って来た茉菜ちゃんはランドセルもおろさずに真っ先にメープルのところへ駆け込みます。そしてケージの前でこう言いました。瞳がキラキラ輝いています。
「あのね、十年生きるとカピバラさんになれるんだって! メープルも頑張って十年生きてカピバラさんになろう! よく食べてよく遊んでよく寝る! 寝る子は育つんだってさ! ずーっと一緒に居ようね! メープル」
メープルはよく分かりませんでしたが、いっぱい食べて遊んで寝ること。沢山生きることで茉菜が望む何かになれるんだ、と理解しました。
その日その時その瞬間から、メープルの夢は「十年生きてカピバラになる事!」になりました。だから、今まで以上によく食べて、よく遊んで、よく眠りました。
「最近、メープルはよく眠るようになったね。『眠りの王子』だ」
お父さんがそう言って笑いながらメープルを撫でます。
「まだ成長期だからよく食べてよく暴れるしね」
とお母さんは笑いました。
(だって、メープルは十年生きてカピバラさんになるんだもん。茉奈とずーーーっと一緒だもん!)
茉菜ちゃんは密かに思うのでした。
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