カサブタの下、誰も知らない梅宮の日常。

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”マナカとのこと” 僕と同じ習字教室に通っているマナカという女の子は教室に来る度に毎回大便をするのが慣例となっているらしく、用をたすと必ず僕に今日の便の報告をしてくる。 「そこまでが慣例だからね」とマナカ。 今日の便には刻まれた人参が?、今日の便には白滝が一本だけそのままに?、今日の便にはシャキシャキの玉ねぎがシャキシャキのままに?、色は黄土色で?、黄金色で?、今日は黒みがかっていて?、などとマナカは嬉しそうに言う。 そんなマナカの"今日のうんちさん"の時間を僕としても何処か心待ちにしているふしがあり、習字教室のない日にもふっと気付けばマナカのクラスの教室の前まで足を運んでしまう僕がいたりもした。 マナカと学校で会うこともあるのだが、マナカは決して学校では大便をしないらしいので、報告を聞くことは出来ない。 「そろそろ聞きたいんでしょ?欲しいんでしょ?そんな顔してるよ。でもダメだよ、明後日まで待ってね。」 マナカは意地悪く微笑むとクルリと背を向けして廊下を足早に去っていく。 そんなにも僕は物欲しそうな顔をしていたのだろうか? 少しだけ自分が怖くなった。
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