カサブタの下、誰も知らない梅宮の日常。

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マナカは、まるで甘美でとろける絶品スイーツのごとき夢物語を語るように、 "今日のうんちさん"を語った。 とろんっとした目つきで左斜め上辺りに視線をやり、今日のうんちさんは硬めでね、人参の橙がアクセントだったんだよね、などと語った。 僕もまるでマナカのうんちさんを目の前にしてるような気分になる。 ある日、それはマナカのうんちさんがナッツぎっしりの日だった。 ぎっしりナッツの1つがマナカに声をかけてきたのだと、マナカはソワソワしながら僕に報告してきた。 「うんちさんの中のナッツ君が私に言うんだよ、青と赤好きな方を選べって、だから私はじゃあ赤って…」 …それで? 「偶然だな、俺も赤の方が好きだぜってナッツは言うわけ、それでナッツは続けたの、お前も俺もまだ青を選ぶ時期ではないってことだな。まだ早いんだ。どうせいずれ青に飲み込まれてくんだから、青を認めなきゃいけない時がやってくるんだから、それまでは溶鉱炉の中のような真っ赤な夢を見てれば良いんだって、そうナッツは言ったの、誇らしげにね。」 マナカはいまだ興奮さめやらぬ、と言った感じだった。 僕は何と言ったらいいのかわからなかったので、 マナカはチョコ好き?と何故かそんなことを聞いた。 「うん、私チョコ好きだよ、多分今日のうんちのナッツもマカダミアナッツのナッツだしね。」 そう言うマナカにポケットの中のチョコを1つあげた。 今朝方、母から貰った少しお高いチョコらしいのでマナカも気に入ってくれるだろう。
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