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…そ、それはどういうこと?
「うーん、僕もね未だに半信半疑ではあるんですけど、こう、さっきまで独り言喋ってたかと思ったら突如えいって公園内ランニングしてるおじいちゃん指差したんです。そしたら指差されたおじいちゃんいきなり胸を抑えて苦しそうにその場に倒れちゃったんです。歳かなって思いました、歳なのに無理するからこんなにも苦しむことになるのかなってそう思って眺めてたんですけど、ほら突然だったから彼女が指差したことすっかり忘れちゃってて、なんか健康ってものはよくわからんなって。必ずしも健康的な生活をしている人間が長生きするわけじゃない、こうして毎日ランニングしているであろう健康的で若々しいおじいちゃんにも突如死はやってくる。なんだかなって、皮肉だよねって、でもそのおじいちゃんを笑う事は出来ないなって。人間誰だって長生きしたいですもん。死ぬのは嫌ですもん。走って健康になれるなら走りますよそりゃ。皆怖いんです死ぬのが。口ではいくら怖くないと言えても、多分いざ死が目の前にやってくると人は恐怖で震え上がる、いや震え上がる事も許されない、何も出来ない。いくら泣き叫んでも絶対にダメだ。いや泣き叫ぶ事も出来ない。何も出来ない、逃れられない。死は平等なのだ。実は人間の死因って恐怖なんじゃないかって、病気にせよ怪我にせよ実は人間を死に至らしめる事なんて出来ないんじゃないかって、恐怖が最期の最期には息の根を止めるんじゃないかって、なんてことを痙攣しているおじいちゃんをぼんやり眺めながら考えてたら、またえいっ!って声が聞こえてきてはっと顔を上げました。そしたら目の前にいる彼女がまた指を指している、瞬時に指差した方向見るとバックウォーキングしているおばあさんがバタって頭を押さえて倒れ込んでいくところでした。そういえばおじいちゃんのときもそうだったなって、そこでやっと気づいたんです。もしかしてこいつが何かしらをしているんじゃないかって、そしたら彼女に目が釘付けになってしまって…」
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