カサブタの下、誰も知らない梅宮の日常。

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「ええ、平日の昼間ってこともあって基本的に人は少なかった、それに誰かが来たと思った瞬間には彼女がえいってやっつけてくれるんで通報がだいぶ遅れたんでしょう。…そう、それでなにをそんなに見てるんだろうと思って話しかけてみたんです。”そんなに気になるのかい”って。そしたら彼女多分屹立したソレが喋ったと思ったのか。”わあ!お話出来るんですね”って、だからこれはこのままいった方が身の危険からも守れるって思って、”あの人達は君が殺したのかい?”って少し腰を振るわせてあたかもソレが話してるように喋りかけてみました。」 …それで? 「”そうなんだよ”ってなんか内緒話を友達に打ち明けるみたいに彼女”しぇしぇしぇっ”て笑いながら僕のムスコに話しかけるんです。”どうしてこんなことをしたの?””どうしてこんな事が出来るの?”って今度は二つ質問してみました。すると”あの人達は悪い人達だったんだ””アジェラッティムーブメントダイソニックハンガーアタックは練習すれば誰でも出来るんだよ”って教えてくれました。」 …アジェラッティムーブメントダイソニックハンガーアタック? 「アジェラッティムーブメントダイソニックハンガーアタックですFさん。」 …それで? 「仲良くなって彼女とお弁当を買いに行く事になりました。」 …え!待って、待って下さい!その彼女の二つの答えについて深くは聞かなかったの?違う、死んだであろう人達については?岡谷さん通報しなかったんですか?救急車は? 「えっしてないですよ。したら捕まるの僕ってFさんさっき言ったでしょう。僕もそう思ったんですよ、あの時の自分を、状況を、客観視する事位僕にだって出来た。それに彼女の答えですけど、深く聞いてもどうにもならないでしょう。真実は本人の口から語られるとは限らない。ましてやいくつにもならないちょっとおかしな女の子の言うことですよ、当てになるとは思えない。というか真実なんて正直どうでも良かったんです。その日は冬の割には良く晴れていて暖かった!そして時刻は正午過ぎ!お腹の虫は鳴っている!じゃあ昼飯だ!いつものように一人での昼飯か!寂しいな!切ないな!やるせない!いや目の前にもう一人いるぞ!それも女の子だ!それに少しタイプだな!…弁当買いに行く以外思いつかないでしょ?」 それが全てだと思った。今岡谷が口にした事が岡谷という人間の全てだと思った。
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