カサブタの下、誰も知らない梅宮の日常。

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…それで? 「そこでほっこり弁当です。彼女ほっこり弁当には良く行くみたいで。慣れた足取りで僕のソレをぎゅーっと握りしめて手を引くようにほっこり弁当に連れてってくれました。店内に入って特にメニューも見ずに海苔弁って。それを見てたら、なんだかなって親御さんはご飯作ってくれないのかなとかいろいろ心配になっちゃいました。いつもきっとこうやって海苔弁を一人で買ってまたあの公園で食べてるんだろうなって、そう思ったら涙が止まらなくなってしまって。彼女の会計遮って、いいんだってここは俺が出すからいいんだって、そしたら彼女初めて俺の顔を見てくれて、”ありがとう知らないおじさん”って言ってくれたんです。そのあと僕のムスコに向かって”今日はこのおじさんが買ってくれるって”って嬉しそうに話しかけてくれて。ああ、このままじゃ無垢に殺されるなって、癒しなんか通り越して無垢なものは人を傷つける鋭い刃なのだなって、そう思いました。」 そう言って岡谷は涙を流した。 きっとその時のことを思い出しているのだろう。
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