55人が本棚に入れています
本棚に追加
/5ページ
意識がまだらで。
極限のねむみを感じる。
いや、感じるなんて生ぬるい表現は正しくない。
極限のねむみどもが軍勢となりあたしの眼球の奥深くにそびえ立つ天守閣に猛然と攻め込んで来ている。
お城は炎上。陥落寸前である。
だけどあたしは最後まで戦い抜くよ。ねむみなどに屈するわけにはいかないのだ。
……くっ。
あたしは口元に腕を回してアクビを隠します。
昼下がり。静かなオフィス。グレーの床。物憂げな観葉植物。
ねむみに襲われ陥落寸前のあたしが密やかにチラリチラリと周囲に目を這わすと、真面目な顔で同僚たちがパソコンに向き合いキーボードをバチバチと叩いております。
そう。
あたしはねむみなんかに負けていられないのです!仕事中だからな!
絶対に負けられない戦いが職場にはある!
し、しかし、我が脆弱な肉体はねむみに屈しようとしております。
ねむみは我が中枢神経のお堀にあろうことかクロロホルムを撒き散らし、お城で鞠をついているねむりんこ姫ちゃんに兵糧攻めしてくるのです。
ねむりんこ姫ちゃんは睡眠を与えられなければ死んでしまうので睡眠を求めますが、睡眠を取ってもお堀に落ちて死んでしまいます。
まずいです。限界は近いです。
最初のコメントを投稿しよう!