1034人が本棚に入れています
本棚に追加
その子が文江に経営学を教え終えて会社を去ってから、1週間が経った。また文江が社長に戻り、茅那子も産休を終えて、寛直を保育園に預けて、職場復帰している。
その子と話したいことが沢山あったが、忙殺されてなかなかその機会が持てなかった。
「時々、具合が悪そうな様子だったの。『真下社長、大丈夫ですか?』って聞いても、『ええ、心配させてごめんね。何でもないのよ』って答えるだけで……」
文江の話を聞いて、茅那子は胸が痛くなった。でもたとえ、自分がその子の体調を心配したとしても、気丈な性格のその子はきっと同じように答えただろう。
職場だからこそ、茅那子は込み上げてくる不安を顔に出さないようにした。
……真下その子さんは大丈夫なんだろうか?
最初のコメントを投稿しよう!